日中眠いことが多いが、何時間眠ればいいのだろうか。
そのようなことを思ったことは無いでしょうか。
理想の睡眠時間はどの世代も共通というわけではなく、年代によって理想の睡眠時間は異なります。
この記事で、ご自身の年齢に合わせた適切な睡眠時間を知って、生活に取り入れてみてください。
適正な睡眠時間の重要性
睡眠時間の必要性とその理由
睡眠は私たち人間の健康と、満足な日常生活を送る上で不可欠な要素です。
適切な睡眠時間を確保することは、身体的な健康を維持することはもちろん、体内の様々な調節機能の回復を図ることから精神的な健康を維持することにも繋がります。
寝不足の時に疲れやすくなったりイライラしやすくなってしまうのは、精神的な健康が保てていない証拠です。
睡眠不足が慢性的に続くと、様々な健康リスクを引き起こす可能性があるため、自身の適切な睡眠時間を知り、確保することはとても重要になります。
適正な睡眠時間と個人差の関係
一般的に成人に推奨される睡眠時間は、6時間から8時間とされています。
これにはもちろん個人差があります。しかしこの時間というのは、記憶の定着や学習能力の向上、身体面や精神面における回復に適しているとされており、睡眠の適切な働きが最も促される時間とされています。
また、加齢とともに睡眠のメカニズムが変化していきます。
睡眠は、深い睡眠と浅い睡眠で構成されています。10代や20代のうちは、深い睡眠と浅い睡眠がバランスよく取られており、通常であれば物音などで起きることはありません。
しかし加齢とともに深い睡眠の割合は減少していきます。そのため少しの物音や尿意によって目が覚めてしまうことがあります。
次の章では年代別の理想的な睡眠時間や、自身に合った適切な睡眠時間の見つけ方について解説していきます。
年代別の理想的な睡眠時間と見つけ方
10代の理想的な睡眠時間
10代の理想の睡眠時間は8時間から10時間とされています。
10代は、身体的・精神的に大きな変化を迎える時期であり、十分な睡眠はこれらの変化に対応するために重要であるため、特に睡眠時間を適切に確保することが求められます。
米国睡眠学会は、13歳から18歳の中学生から高校生は、健康を維持するために8時間から10時間の睡眠時間を確保するべきだと発表しています。
20代・30代の理想的な睡眠時間
20代と30代の理想的な睡眠時間は最低7時間とされています。 この時期はSNSなどに熱中してしまい、睡眠時間を削ってしまう傾向にあります。
20代は、前半が大学生活や社会人への移行、後半はキャリアアップや人によっては新しいことを始める時期かもしれません。
環境の変化が比較的激しい20代は、精神的に感じるストレスも比較的多い傾向にあります。睡眠はストレスの緩和も行うため、理想的な睡眠時間を確保することが、充実した日常を送ることに繋がります。
30代は、キャリア形成や家族ができたりと、人生の節目となる時期になります。職場や家庭における責任が増すため、睡眠が犠牲になりがちです。
しかし睡眠不足は、集中力や注意力の低下などに繋がる可能性があります。理想的な睡眠時間を確保するために生活を見直すことで、質の高い睡眠が確保でき、生産性や幸福感に繋がります。
40代・50代の理想的な睡眠時間
40代・50代の理想的な睡眠時間は6.5時間以上とされています。
この時期は一般的にキャリアや家庭が安定期に入りますが、同時に責任が一層増し、多くのストレスを感じる時期でもあります。
また、睡眠の質も低下することが一般的であり、これは加齢に伴う心身やホルモンバランスの変化であることが多いです。
40代・50代では、健康的なライフスタイルを維持し、自分なりのストレス管理方法を見つけて睡眠の質を維持することで、快適な毎日に繋がります。
60代以降の理想的な睡眠時間
60代以降の理想的な睡眠時間は、5時間から7時間とされています。
加齢とともに睡眠が浅くなり、途中で起きてしまうことも増えると思います。これはホルモンバランスが崩れることによって「深い睡眠」の時間が減ることで引き起こされます。
睡眠不足は日中の活動に支障をきたすだけでなく、認知症やうつ病、心血管の疾患などのリスクも増加させます。
ホルモンバランスが崩れることによって睡眠が浅くなるとは言っても、日中の集中力や疾患の予防のためには睡眠時間をしっかりと確保することが重要です。
日中の適度な運動や就寝前にリラックスが図れる自分なりの方法、睡眠の質を高めるサプリの服用など、何かしらの対策をすることをおすすめします。
自分の適切な睡眠時間の見つけ方
自分の理想の睡眠時間を見つけるためには、数週間にわたって睡眠に関する日記をつけることをおすすめします。
日記には、
- 就寝時間
- 起床時間
- 起きた時のスッキリ感
- 夜間に起きた回数
- 日中の眠気の程度
自分が活動的で眠気を感じる場面が少ない日が、自分に適した睡眠時間である可能性が高いです。
また、運動したか、どれくらいしたかを記録しておくことで、運動時に必要な睡眠の時間も把握することができます。
睡眠時間と生活習慣病・健康リスクの関係
睡眠不足がもたらす潜在的なリスクと疾患
睡眠不足は、疲れやすくなったり日中の集中力低下を引き起こすことはもちろんですが、長期的に続くことによって生活習慣病などの疾患を引き起こす可能性もあります。
また、睡眠不足は認知機能の低下を引き起こし、アルツハイマー病のリスクを高める可能性もあります。睡眠中にはグリンパティックシステムという、脳内で老廃物が排除されるシステムがあり、その機能が低下してしまうため、疾患のリスクが高まります。
アメリカによって調査された、睡眠時間と死亡リスクの増減に関する関係の調査によると、睡眠時間が7時間のときを1としたときの相対的な数値として、5時間のときは1.1、3時間しか寝ていない人は1.3まで死亡リスクが上昇することが分かっています。
睡眠不足は、単に日常生活のみで支障がでるのではなく、長期間続くことで疾患に繋がる可能性もあることを覚えておいてください。
寝不足だけでなく、「寝すぎ」も良くない
寝れるときに寝といて寝不足分を取り返そうと、休日に長く寝るという方はいませんか。
実は寝不足だけでなく、睡眠時間の取り過ぎもカラダにとってはあまり良くありません。
睡眠は「生活のリズム」を作る重要な時間です。そのため睡眠を取りすぎることによって、体内における一日のリズムが崩れ、内臓の動きに微妙な「ズレ」が生まれます。
海外に行ったときに時差ボケによって体調があまり優れないという経験をしたことはないでしょうか。まさにその時差ボケと同じようなことが体内で起きてしまうため、不調に繋がります。
また、寝る姿勢が長時間続くことによって血行に不具合が怒り、肩や腰などの不調にも繋がります。
質の良い睡眠を得るために
睡眠時間を確保することも重要ですが、同じくらい睡眠の質をあげることも重要です。
この章では、睡眠の質を上げるために出来る方法を簡単に紹介していきます。
効果的な就寝前のリラックス方法
就寝前のストレッチは緊張した筋肉をほぐし、カラダをリラックス状態にするのを手伝います。デスクワークなどで固まった首や肩をほぐすことで、質の良い睡眠に繋がります。
また、瞑想も効果的です。深い深呼吸と考え事を無くすことによって心を落ち着かせ、リラックスすることができます。瞑想にはストレスや不安を低減する効果もあるため、一度試していただきたいです。
睡眠の質を下げるやってはいけないこと
まず挙げられるのは、スマートフォンやテレビなどのブルーライトを発する機器の使用です。
寝る前に少しだけと言って、長時間見てしまい、結果的に睡眠時間を削ってしまう。そのようなことはないでしょうか。
確かに少しのリラックスタイムとしてSNSなどをチェックしてしまうことは分かります。ただ、ブルーライトは脳を覚醒状態にさせ、眠りにつくのを阻害してしまいます。
また、夕方以降のカフェインの摂取もできるだけ避けましょう。カフェインが血液内で半分になるまでに掛かる時間は平均で4時間とされており、完全になくなるまでは更に掛かります。
カフェインは知っての通り覚醒作用があるため、集中したいときなどには適していますが、夕方以降の摂取は睡眠に悪影響を与えるため、避けるようにしましょう。
寝る前の入浴
寝る前の入浴は、質の良い睡眠のためにはとても重要な役割を果たします。 入浴は体温を上昇させ、その後の体温の低下が睡眠を誘います。
ただ、熱すぎるお湯に入ることは避けてください。熱いお湯に浸かることは、体内の交感神経を活性化させます。交感神経が活性化することで覚醒作用が働くため、スムーズな入眠を阻害します。
理想的な入浴は、就寝の約2時間前に38度前後のぬるいお湯に20分から30分程度浸かることです。そうすることで、体をリラックスモードにする副交感神経が優位になります。
また入浴は心身の緊張をほぐす効果もあり、緊張がほぐれることでストレスが軽減されます。ストレスは睡眠の質が低下する原因の一つであるため、入浴は睡眠の質が低下することを防ぐ役割も果たします。
おわりに
理想の睡眠時間を確保することは、日中の活動に悪影響を与えるのを防止し、長期的に見て疾患の予防にも繋がります。
それぞれの年代に適した理想の睡眠時間は異なりますが、もっと細かく言うと個人によって異なります。
自分の理想の睡眠時間を把握し、加えてできることから質を上げる方法を実施することで、毎日の満足感を上げていきましょう。