睡眠の質に悩む方へ。睡眠の質を上げるために出来ることや睡眠不足の解消方法とは?

睡眠に関する悩みはありませんか。

睡眠の量が足りなかったり質が悪い場合、日中の活動におけるストレスが溜まりやすくなり、人に当たってしまったり、自分に対しての不満が溜まってしまう場合があります。

睡眠の量は時間の関係でどうにもすることはできませんが、睡眠の質を上げるためにできることは、簡単なものが多くあります。今回紹介する方法をいくつか試して、睡眠の質改善を目指してください。

睡眠の質を上げる習慣と方法

睡眠の質を上げる習慣と方法

睡眠に必要な理想的な時間とは

理想的な睡眠時間は個人によって異なります。日本人の平均的な睡眠時間は7時間半と言われていますが、7時間半以上寝ていても睡眠が足りない方や、7時間半より短い時間しか寝ていなくても日中の活動に支障が出ない方もいます。

自身の適切な睡眠時間を測る方法は簡単です。まずベットに入った時間を確認しておきます。そしてアラームをかけずに寝て、朝1度目に起きた時間を確認してその寝ていた時間が個人の適切な睡眠時間と言われています。夜23時に寝て7時に起きたら、その人の適切な睡眠時間は8時間ということになります。

アラームを掛けないことが好ましいため、翌日仕事が無い日や、午後から予定がある日を選ぶようにしましょう。また、2度寝は睡眠時間に含まれず、朝一回目に起きた時間が目安になります。

睡眠時間の周期は1.5時間(90分)と言われています。この「1.5時間」を目安に睡眠時間をコントロールしましょう。

8時間が適切な睡眠時間の人で、やるべきことがあって8時間も取れない場合は6時間30分というようにとることをお勧めします。これは睡眠のメカニズムに由来しています。

人は何時間寝ればいいかご存じですか?

90分周期の睡眠のメカニズムとは

我々人間の睡眠の周期は90分と言われています。睡眠は主に、脳が活発に動いている「レム睡眠」と、深い眠りである「ノンレム睡眠」の2種類に分かれます。記憶の整理や定着のレム睡眠と、脳や体の回復という役割を持つノンレム睡眠です。

まず人が眠りにつくと、一気に深い眠りに入ります。この深い睡眠がノンレム睡眠です。そして1時間ほど経つと、段々眠りが浅くなりレム睡眠に入り、眠りについてから90分ほどで再度ノンレム睡眠に移行します。

睡眠のメカニズム

引用サイト:エスエス製薬株式会社 「ドリエル」より

もちろん個人差はありますが、この90分の周期が3回から5回ほど繰り返され、人は目覚めます。このメカニズムから、個人の適切な睡眠時間から減らす場合は、90分を意識して欲しいです。

アルコールの摂取と睡眠質との関係

アルコールは、睡眠の質を低下させる原因になります。この理由は、アルコールの「効果」と、人の「慣れ」が関係しているためです。

アルコールの効果は人の睡眠の導入と途中に分かれます。アルコールを摂取することによって睡眠の導入時間が短くなり、眠りの深度を深めます。そのため眠れない時にアルコールを摂取する方は多いのではないでしょうか。しかし睡眠の途中段階においては逆の効果を発揮します。

アルコールは人の覚醒を促す役割を果たし、脳が活動している時間が増加します。これによって深い睡眠が減少し、睡眠の途中で起きてしまう「中途覚醒」が増加します。お酒を飲んで眠れるようになったが、途中で目が覚めてしまうという経験がある方はいませんか?

また、どんどん脳はアルコールの効果に慣れてしまうため、導入時の良さが減少していき、起きるのが早くなることや、更にアルコール量が必要になってしまうという悪い循環に繋がる可能性があります。

飲み会や眠れないからという理由から睡眠導入剤の代わりでアルコールを摂取することは仕方のないことではありますが、習慣的な摂取は人の睡眠の悪影響にしかならないため注意が必要です。

快適な睡眠のための生活習慣

睡眠のための生活習慣

適度な運動が睡眠に及ぼす効果

適度な運動は、睡眠の質を深めることに繋がります。睡眠には、疲労の回復という役割があります。睡眠時に疲労した体を回復するために深い睡眠を誘うため、適度な運動は睡眠の質を高めるのに役立ちます。

注意して欲しいのは、寝る前のきついトレーニングです。きつい運動の方が深い睡眠に繋がるのではないかと考える方はいませんか。睡眠には適切な体温というのが存在します。しかしトレーニングによって上がった体温が、睡眠に適切な体温まで下がるためには、およそ6時間が必要と言われています。

体温が下がらないことにより眠りが引き起こされず、結果的にベットに入ってからも中々眠れないという状況が続いてしまいます。寝る前に運動を行う場合は、リラックスできる程度のストレッチなどがおすすめです。

睡眠時間と体内ホルモンの分泌タイミング

睡眠時間とホルモン分泌

引用サイト:厚生労働省 「e-ヘルスネット」より

睡眠中に分泌されているホルモンや、脳の温度も睡眠の仕組みに大きく関わってきます。日中、様々なことを考えたり判断するために活動して熱かった脳が、睡眠の導入から途中までにかけてどんどん温度が下がっていきます。

そして脳の温度が下がり、眠りの準備に入っていくと同時に眠りを誘うホルモンであるメラトニンが分泌され、時間の経過と共に入眠を促していきます。入眠時にはこの2つの生体機能が上手く作用して人を入眠に誘います。

そして朝方になると、人の覚醒を促すホルモンである副腎皮質ホルモンが分泌されます。そのタイミングとほぼ同時にメラトニンの分泌量が減少し、副腎皮質ホルモンの分泌後に脳の温度が上がり始めます。これら3つの生体機能が作用し、人の目覚めに繋がります。

眠りの質を高める秘訣

睡眠の質を高める

寝室の温度設定による眠りへの影響

睡眠時の部屋の環境を整えることは非常に重要です。部屋の環境を少し意識して変えるだけで、深い睡眠を得られる可能性が高まります。

まずは温度です。夏は25度前後程度に設定しましょう。もしかしたら25度前後は高いと感じるかもしれません。しかし、夏場は寝る時の放熱によって汗をかきやすくなり、汗をかいている場合、部屋の温度が低いと汗が冷えて逆にどんどん寒く感じてしまい、眠りにつくことが出来なくなってしまいます。

冬は20度前後に設定しましょう。もしかしたら寒いと感じる方がいるかもしれません。ですが布団を被ることで布団内の温度は上昇し、眠りにつくことができます。温度が高い場合、かえって暑く感じ眠れなくなってしまう場合があります。

また湿度にも気をつけましょう。湿度は40%から60%が好ましいです。これは高すぎる場合眠りにつくのが苦しくなり、低い場合は乾燥してのどの炎症に繋がる場合があります。

睡眠前の熱いお風呂は危険です

入浴も睡眠の質を深めるために大きな役割を果たします。お風呂に入ることで体が緩み、リラックスモードに入ります。リラックスモードに入ることでスムーズな睡眠の導入に繋がりますが、睡眠前の入浴にも気をつけなければならない点があります。

それはお風呂の温度です。熱いお風呂は人の交感神経を優位にさせる効果があります。交感神経が優位になると人は興奮状態になり、リラックスモードとは真逆で寝つけなくなってしまう可能性が高まります。

おすすめは38度から40度程度の熱すぎないお湯に15分程度浸かることです。そうすることで副交感神経が優位になり、体が勝手にリラックスモードに突入します。体を温めたい気持ちは分かりますが、そこはグッと堪えましょう。

また、寝る前のストレッチもおすすめです。ストレッチは体の筋肉を緩め、精神が落ち着く効果があるため、これもまた副交感神経が優位になります。ぜひ一度試してみてください。

睡眠不足の解消方法

睡眠不足の解消方法

昼間に眠くなる方への昼寝講座

昼間に眠気がきて仕事に集中できない、なんてことはありませんか。忙しい現代人は中々睡眠時間を確保できないのも現状です。それが巡って日中の活動に支障を及ぼすなんてことは避けたいです。そんな時は昼寝が効果的です。

15分から30分の軽い睡眠をとるようにしてみましょう。短時間の睡眠は、眠気の解消と共に、頭がリフレッシュされるため、その後の活動に精力的になる可能性があります。パワーナップと呼ばれるこの昼寝技術は、研究によって効果が確認されています。

しかし眠り過ぎにも注意が必要です。30分以上の睡眠は人の睡眠を深め、起きた際にぼーっとしてしまったり、作業に集中できなくなってしまいます。また、夜に眠れなくなる可能性もあるため、短時間の昼寝を心掛けましょう。

昼間の14時ごろに眠くなるのは仕方のないことです。これは「アフタヌーンディップ」という現象が理由です。これはお昼ご飯を食べたからなどが理由ではなく、人の生理現象のため、避けられないのが現状です。無理に逆らうのではなく、効果的な昼寝をとってその後の活動に繫げましょう。

寝る前のスマートフォンの危険性知ってしますか

寝る直前にスマートフォンを触ってしまう方はいませんか。スマートフォンは寝る前に利用することで、睡眠の質の低下に大きな影響を及ぼします。

アプリの使用や、動画の視聴によって単に睡眠時間が削られてしまうことも挙げられますが、問題はスマートフォンが発するブルーライトです。

脳は日の光を感じることで時間を感じ、指令を発して時間に適した活動を促します。日を浴びると体を目覚めさせ、夜になると眠気を誘うといったようにです。

しかしブルーライトを感知した脳は日を浴びたと勘違いをして、体を目覚めさせるように指令をしてしまいます。そのため、寝る直前にスマートフォンを利用すると、眠気が減り、眠りにつくのが大変になってしまいます。

寝る前のスマートフォンの操作はできるだけ控えるようにしましょう。

どうしても眠れない方へ

様々な方法を試してみたけど、どうしても眠れない、途中で起きてしまうという方は、睡眠薬を服用することも検討してみることを考えてみましょう。

症状によって様々な睡眠薬があるため、自身の悩みを解決する方法が必ずあるはずです。しかし連日使ったり、目安量を超えて服用をすると依存性が高まったり、副作用が大きく鳴ったりしてしまうため、注意が必要です。

利用する際は、必ず専門の方の意見を聞くようにしましょう。

睡眠の質を上げるための栄養素とタイミング

睡眠の質を上げる食材

睡眠質向上に寄与する栄養素

トリプトファン

トリプトファンは、眠りを誘うホルモンであるメロト人の生成に繋がります。アミノ酸は全部で20種類存在し、体内でほとんど合成されない必須アミノ酸9種類と、体内で合成される非必須アミノ酸11種類に分けられます。トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内で合成されないため、食事から摂取する必要があります。

トリプトファンは体内でセロトニンというホルモンに変化し、セロトニンは入眠時に眠りを促すメラトニンに変化するため、トリプトファンの摂取は、入眠の促進に繋がります。

トリプトファンは鶏むね肉、牛ひれ肉、かつおやカシューナッツなどに含まれ、入眠に良い影響を与えるだけでなく、アンチエイジングや記憶力、集中力など様々な効果があります。積極的に摂取するようにしましょう。

グリシン

グリシンは睡眠に大きく関わる深部温度低下に良い効果を発揮します。グリシンは非必須アミノ酸11種類にあたり、肉や魚介類に多く含まれ、特に牛筋やエビ、カニに多く含まれます。

入眠時に眠気が強くなる理由は、体内の熱が手足から放熱され、体温が急激に低下するためです。赤ちゃんが寝ているときに手足が暖かいのは、放熱をしているためです。

深部温度が低いと睡眠の質が向上することが分かっており、グリシンによって深部体温が下がることで放熱が促進され、深い眠りに繋がります。

GABA

GABAはγ-アミノ酪酸の略で、ギャバと呼ばれています。GABAはリラックス時に重要なα波を増加させ、緊張状態や興奮状態を治めるため、睡眠の質の向上が期待できます。

GABAは元々体内で生成される成分です。しかし、疲労やストレスを強く感じてしまうと緩和するために大量に消費してしまうため、体内で不足に繋がります。不足すると緊張状態が緩和されず、リラックスできない状態が続いてしまいます。

GABAはトマトやメロンかぼちゃなどの野菜や果物に含まれますが、特にたくあんや奈良漬、キムチなどの漬物に多く含まれる傾向があり、意識的に摂取することでストレスの緩和や睡眠の質向上に繋がります。

食事のタイミングと量の影響

食事のタイミングと量にも注意が必要です。食事の消化には脳の活動も関わってきます。脳が活動しているということは、脳が休まっていないことを指し、眠りの浅さに繋がってしまいます。

睡眠の直前1時間から2時間ほどに食事をしてしまうと、寝ている途中にも脳が活動し、睡眠時に脳が休めなくなってしまいます。特に睡眠から1時間は深い睡眠のためとても重要です。寝る3時間前には食事を終えておくことが好ましいです。

また、夕食に多く食事を摂ってしまうのも睡眠の質低下に繋がります。例え寝る3時間前に食事を終えていても、たくさんの量を摂取した場合消化にも時間が掛かってしまい、睡眠の質低下に繋がってしまいます。

おわりに

今回は、睡眠の質で悩む方に向けて、睡眠の質を上げるために出来ることや、睡眠不足の解消方法などをご紹介しました。

睡眠の質が低いと、日中の活動に集中できなくなったりして、ストレスの蓄積に繋がります。睡眠の質が低い原因は様々で、一人一人異なります。ですが解消の方法も多くあり、様々な方法を試すことが重要です。

まず出来ることから始めましょう。

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